素崎元弥 17歳。
その力、自分だけに与えられた特別な力を自覚するのは早かった。
幼い頃から構ってほしがり屋であった彼は、自分が感じた不思議な体験を大人たちに自慢しようとした。
しかし、彼の期待を裏切った周囲の反応、得たものは「奇異の視線」
不気味がる大人たちに元弥は半強制的に能力を隠さざるを得ず、与えられた課題をただただこなした。
近所で噂は広まり、彼と親しかった友達もだんだんと彼の前から姿を消していった。
家庭内環境は決して穏便とは言えなかった。
ある日、いつも遊んでいた公園でみつけた「それ」。
赤みがかった美しい毛並みに太陽の黒点を思わせる黒い瞳の犬 … ウォルフ。スイスの太陽研究者だ。
そう、名前を付けていくらか一緒にいるうちに愛着がわき家へ連れて帰ることに。
飼育の許可と引き換えに世話は自分でやること。資金は出してもらえることとなった。
外で、家で、よく笑い、よく暴れ、よく遊んだ。
彼を取り巻く環境が悪化していく一方でウォルフは彼の心を癒し続けた。
泣くことが多かった彼を、ウォルフは顔を舐めて慰めてくれた。
時が経つにつれ、彼が勉強を頑張っても大人たちは振り向いてくれなくなった。
それどころか、彼の知る両親は口喧嘩が絶えない状態にあった。
飛び交う罵声、騒音、彼は物陰でうずくまり耳をふさぎ続けた。
荒んだ環境が、彼に正しい判断をさせなかったのだろう。
「この力を今一度、試してみよう そして、大人たちの気を引こう 僕を見てもらおう」
そんな出来心から唯一の親友、ウォルフに手を出し内部から破裂させ殺害。
殺害後、親に現場を発見されたが元弥は事態を飲み込めず会話不可能、大人たちの手により後処理が行われた。
過ちは彼の中で尾を引き、幼い心をかき乱した。
こんな取り返しのつかないことを、と 彼は震えた。
未熟な翼で空を飛ぼうとして、太陽に焼かれた。
この日を境に、生体からの元素抽出、生成を一切禁止した。
これが原因となり調理前の肉類、内臓類のグロテスクなものを見ると簡単に吐き気を催すようになった。
数年間能力を封じていた彼は他の能力者と比べ成長が遅い傾向にある。
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